天の鳥舟

Dairi Takashima

セルフポートレート

私が彼を初めて見かけたのは、彼が大学に入ったばかりの頃だった。彼はそのとき黒いタイトな上下のスーツを纏っていた。上着には赤い帯状のボタンが施されており、イメージとしては中世ヨーロッパの貴族のような(あくまでも筆者のイメージです)。長身かつ細身のフォルムであったこともあり、人目を引く装いだったと記憶している。
また、ほぼ同じ時期に彼の描いた作品を見せてもらった。大きな油絵で具象であり、暗闇のなかに虚空を見つめる老人の姿が克明に描かれていた。その初めて見かけた彼の風貌と作品から受けた印象は、情熱的でやや前衛的なものだったのだが、直接話をすると至って冷静、沈着、静かな語り口で、話す内容も至って良識的なのだった。また、彼がわざと冷静を装っているのでは無いことは解っていたので、彼の人柄と作風の違いが不思議だった。
さて、それから30数年が経ち、2023年9月初旬、互いに連絡を取り合っていたK氏を仲立ちにして、世田谷美術館で行われた多摩美術大学芸術学部油絵科1989年卒業生展「それぞれの現在地。」を訪ね、彼に会うことができた。館内のカフェで1時間ほど話すと、冷静かつ沈着、もの静かに良識的な会話をする彼は10代の頃と変わらないのだった。
そこでようやく私の中の謎が解けた。つまり、彼の創作活動は自分の心象風景や心の機微を率直にキャンバスに描くことであって、それ以外のものではない。そして、それを10代の頃から現在も継続しているのだと。私がそれを理解できなかったのは、私にアートを描く内面的な何ものかが無く、仮にあったとしてもそれを表現する素直さに欠けているからだったのだ。アーティスト恐るべしだ。
私が彼の作品を信頼するのは、そのような経緯からだ。

(Artgallery Ramat代表:野島俊一)

高島 大理
・1966年 岡山生まれ
・1989年 多摩美術大学油画 専攻絵画科卒業

【主な受賞】
・第6回 岡本太郎現代芸術賞/2002年/入選
・キリンアートアワード/2003年/奨励賞

      
 

Works

  • 地球を描く富士山

    地球を描く富士山
    2002
    雲肌麻紙 墨 アクリル ミクストメディア
    210.0 × 150.0 cm
    ¥200,000

  • 天の鳥舟

    天の鳥舟
    2003
    和紙 墨 ミクストメディア
    210.0 × 150.0 cm
    ¥200,000

  • 仏生山

    仏生山
    2010
    キャンバス アクリル ミクストメディア
    27.3 × 19.0 cm
    ¥20,000

  • 枠のある風景

    枠のある風景
    2011
    キャンバス アクリル ミクストメディア
    27.3 × 19.0 cm
    ¥20,000

Discription

  • 🍀 「天の鳥舟」「地球を描く富士山」は、2003年キリンアートアワード受賞作です。パネル貼りされておらず、そのままのお渡しになります。
  • 🍀 「仏生山」「枠のある風景」は、どちらも額装は不要ですが、どうしても額装されたい場合はご相談くださいませ。